160 〜たる(しゃ)/〜ともあろう(もの)が/〜としたことが

名詞(めいし)(ひと)組織(そしき)): ×  + たる(しゃ)
               ともあろう(もの)
               としたことが


♪ 会話(かいわ) ♪
百恵(ももえ)今朝(けさ)課長(かちょう)ともあろう(もの)が、()んだ電車(でんしゃ)(なか)で、競艇(きょうてい)新聞(しんぶん)(ひろ)げていたのよ。
佐藤(さとう)当社(とうしゃ)課長(かちょう)たる(しゃ)、せめて一般(いっぱん)新聞(しんぶん)にしてほしいとは(おも)わない?
百恵(ももえ):それって社長(しゃちょう)台詞(せりふ)みたい。失礼(しつれい)だけど、一介(いっかい)(ひら)社員(しゃいん)たるあなたの(くち)から()くとは(おも)わなかったわ。

♯ 解説(かいせつ) ♭
 これらの文型(ぶんけい)は「<(ひと)(くに)会社(かいしゃ)など擬人(ぎじん)()できる対象(たいしょう)>は当然(とうぜん)〜であるべきだ」という社会(しゃかい)(てき)常識(じょうしき)評価(ひょうか)共通(きょうつう)認識(にんしき)にしています。
 「〜たる(しゃ)」はほとんどの場合(ばあい)、「〜なければならない/べきだ」と呼応(こおう)し、当然(とうぜん)あるべき姿(すがた)はどうかという判断(はんだん)後件(こうけん)(あらわ)します。「ともあろう(もの)が」は、「当然(とうぜん)そうあるべきなのに、実際(じっさい)はそれに(はん)して〜」と矛盾(むじゅん)した事態(じたい)()べる表現(ひょうげん)で、非難(ひなん)批判(ひはん)疑問(ぎもん)(つよ)(あらわ)します。
 一方(いっぽう)、「〜としたことが」は自分(じぶん)(ふく)めて「〜がそんな(あやま)ちをするはずがないのに、どうして〜んだろう?」と不注意(ふちゅうい)思慮(しりょ)不足(ふそく)結果(けっか)予想(よそう)しなかった(あやま)ちを(おか)したときに使(つか)われます。

§ 例文(れいぶん) §
1.(かり)にも医者(いしゃ)たる(もの)は、「()仁術(じんじゅつ)」と心得(こころえ)るべきだ。
2.教師(きょうし)たる(しゃ)生徒(せいと)のお手本(てほん)にならなければならない。
3.政治家(せいじか)ともあろう(もの)が、金儲(かねもう)けのために()(いろ)()えるとは何事(なにごと)か!
4.警察官(けいさつかん)ともあろう(もの)が、暴力団(ぼうりょくだん)捜査(そうさ)情報(じょうほう)(なが)していたとは、(ゆる)(がた)いことだ。
5.(わたし)としたことが、どうしてこんなミスをしたんだろう。

★ 例題(れいだい) ★
1) 日頃(ひごろ)何事(なにごと)にも慎重(しんちょう)(かれ)(としたことが/たる(しゃ)/ともあろう(もの)が)、このようなミスをする(とは/というのは)、(まった)予想(よそう)(しか/だに)できないことだった。
2) 信用(しんよう)(だい)(いち)銀行(ぎんこう)( )( )あろう(もの)( )、()()債権(さいけん)事実(じじつ)を((かく)す→    )(つづ)けていた。

(^^)(まえ)()解答(かいとう)(^^)
1) に(たい)して(→文型(ぶんけい)322)/たりとも/ず(→文型(ぶんけい)121)
2) たりとも/(わた)す(禁止(きんし))/に(慣用(かんよう)()「〜を()言葉(ことば)にする」)


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日本語(にほんご)()()(てら) 参拝(さんぱい)(ぐち)(もど)