314 〜にして/〜にして〜(ら)れない

 名詞(めいし): ×  +  にして
           にして、かつ〜
にして〜(ら)れない
にして、はじめて〜(ら)れる


♪ 会話(かいわ) ♪
山田(やまだ):これは(かれ)にして、はじめてできることです。とても素人(しろうと)とは(おも)えません。(まさ)玄人(くろうと)はだしですね。
課長(かちょう)(くん)にしては、(めずら)しく手放(てばな)しの()(かた)だね。他人(たにん)()さが(みと)められるのは、人間(にんげん)としての成長(せいちょう)だよ。
山田(やまだ)(さん)(じゅう)にして、ようやく(ひと)苦労(くろう)がわかるようになりましてね。(わたし)もそれなりの苦労(くろう)はしたようです。

♯ 解説(かいせつ) ♭
 「〜にして」の(おお)くは「〜で」「〜でも」「〜であって」に()()えられる状況(じょうきょう)場面(ばめん)(とき)強調(きょうちょう)する表現(ひょうげん)になります。また、例文(れいぶん)2のように「Aにして、(かつ/同時(どうじ)に)B」の(かたち)で、「Aでもあり(かつ/同時(どうじ)に)Bでもある」の意味(いみ)(あらわ)します。文型(ぶんけい)として重要(じゅうよう)なのは「〜でさえ〜できない」に相当(そうとう)する「〜にして〜(ら)れない」と、例文(れいぶん)4の「〜であってこそ〜できる」に相当(そうとう)する「〜にして、はじめて〜(ら)れる」でしょう。この(ふた)つの文型(ぶんけい)口語(こうご)でもよく使(つか)われます。
 なお、「(さいわ)いにして/不幸(ふこう)にして/一瞬(いっしゅん)にして/緊急(きんきゅう)にして」などは語彙(ごい)として(おぼ)えた(ほう)がいいでしょう。

§ 例文(れいぶん) §
1.ローマは(いち)(にち)にしてならず。
2.(かれ)政治(せいじ)()にして、かつ敬虔(けいけん)なクリスチャンでもあった。
3.留学(りゅうがく)(ちゅう)(まず)しくて食事(しょくじ)満足(まんぞく)()べられなかったが、(いま)にして(おも)えば、ひたすら勉強(べんきょう)専念(せんねん)できた(しあわ)せな時代(じだい)だった。
4.このような偉業(いぎょう)は、私心(ししん)のない(かれ)にして、はじめて()()げることができたのだ。
5.不幸(ふこう)(ちゅう)(さいわ)いとでも()いましょうか、(だい)事故(じこ)にもかかわらず、主人(しゅじん)(さいわ)いにして(かる)いけがですみました。

★ 例題(れいだい) ★
1) 孔子(こうし)(いわ)く「(われ)(よん)(じゅう)(に/にして)(まど)わず」。でも(ぼく)()(じゅう)になっ(たら/ても)、((まよ)う/(まよ)って)ばかりいる。
2) 会社(かいしゃ)倒産(とうさん)で、(かれ)が((きず)く→   )()げた(とみ)地位(ちい)も、一瞬(いっしゅん)( )して((くず)れる→   )()った。

(^^)(まえ)()解答(かいとう)(^^)
1) にして/である(→文型(ぶんけい)009)/(したが)わない(→文型(ぶんけい)457)
2) に/の(→文型(ぶんけい)322)/だった


(ぜん)(ぺーじ)314(つぎ)(ぺーじ)

日本語(にほんご)()()(てら) 参拝(さんぱい)(ぐち)(もど)